2017・GW 九州横断取材旅<Ⅰ> 国東半島/大分県

2017年のGWは「瀬戸内海の洋上」から始まった。

4月28日の夜8時前、我々を乗せた「さんふらわ」号は、大阪南港から別府に向けて出港した。別府港への着岸時刻は明朝7時45分。つまりこのフェリーは、寝ている間に別府まで運んでくれる。

ちなみに大阪から別府までは、陸路でおよそ650キロ。かつては途中で四国や下関に立ち寄り、ついでに見知らぬ土地を訪ねて回ったものだが、坐骨神経痛という爆弾を抱えてからは、そうそう無理のできない体になった。それでも今回の旅では、天候に惑わされながら想定外の1900キロを走っている。もし陸路で往復していたら3000キロを越える勘定になるのだから、九州と云えども取材の旅は侮れない。

さて。

今回はカーネル本誌の大分県特集と、日本一周・車中泊コースガイド九州編の2つの取材を兼ねており、別府入港後に国東半島を周って、一気に長崎に移動し、雲仙から熊本にフェリーで渡って、阿蘇からやまなみハイウェイを走って別府に戻るという、文字通りの「九州横断」だ。変則な動きになるのはGW所以だが、それでも筆者には「この時期」に九州を取材しなければならない理由があった。

写真は2009年のGWに撮影した「くじゅう花公園」でのワンショット。GW頃の九州は、7月の北海道と同じくらい爽やかで、ご覧の通り花も美しい。その意味からすればベストシーズンともいえるのだが、2010年以降、この時期の九州を訪れることができずにいた。

なぜなら…

写真は今年の正月に取材した鹿児島県の指宿名物「砂蒸し」。そう、九州には他にはない「断トツ」といえるコンテンツがある。そのため、この6年間はずっと冬の九州で「温泉地」を旅してきた。しかしそうなると、いざ「九州一周」の本を書こうとすると、景色が全部「冬」になる(笑)。

さて。話を戻そう。

筆者たちが別府入港後、真っ先に訪ねたのは、温泉ではなく隣の杵築市(きつき)に残る城下町だ。江戸時代に松平三万二千石の城下町として栄えた往時の風情を色濃く残し、時代劇のロケ地にも使われている。

全国的にメジャーな史跡や著名な出身人物がいないため、未だ「知る人ぞ知る場所」のままなのだが、別府市内からは20キロほどしか離れていないため、何かの拍子で一躍有名になる可能性は十分にありそうだ。

GW初日に、ランドマーク・スポットとされる「酢屋の坂」で、誰一人いない光景が撮影できるのだから素晴らしい!(笑)

驚くほどよく管理された家老屋敷。

城下町ができる以前、黒田官兵衛が生きた時代の杵築城の模擬天守。江戸時代には現在の城下町の方に御殿を建て、そちらで執務を行っていたという。

実は杵築ではボランティアガイドを予約していた。見知らぬ町を短時間で理解するには一番の良策で、筆者は好んでこの手を使う。ちなみに料金は夫婦で2時間・1000円(有料施設の入場料は別途)。余談だが、この日が5月5日なら「暴れん坊将軍」にも会えただけに、惜しいことをした(笑)。

午後からは国東半島の磨崖仏(まがいぶつ)ツアーへ出かけた。

磨崖仏とは岩壁に直接彫られた仏像のこと。平安時代から室町時代にかけて彫られたものが大半とされている。大分県はその磨崖仏の宝庫と呼ばれ、実に全国の磨崖仏の6~7割が集中しているという。中でも国東半島と臼杵に残る遺跡が有名だ。

最初に訪ねたのは熊野磨崖仏。 この日本最大級の磨崖仏は国指定の重要文化財で、平安時代末期の作といわれている。影になっていて見づらいが、左の観光客と比べれば、その大きさが実感できるはずだ。

ここには、絶壁の左手に微笑んでいるかのような不動明王、右手に引き締まった表情の大日如来がそれぞれ刻まれているのだが、残念なことに訪れた時は大日如来のお顔に木の影がかかり、台無し… 晴れた日はこれがあるので厄介だ。

なお、磨崖仏は鬼が一晩で積んだという険しい石段を登った先にある。

その後は、本宮磨崖仏、川中不動と2つの磨崖仏を拝み、さらに富貴寺と両子寺の古刹をまわったが、話がマニアックなので割愛する(笑)。仏教に興味がなければ、このあたりはたぶん魅力的には感じないだろう。

一連の取材先を周り終えたのは夕方5時前。
実は筆者には国東半島に興味のある場所がもうひとつあった。

真玉(またま)海岸は、国東半島西側の付け根に位置する遠浅の海岸で、写真のように、引き潮時には無数の潮溜まりが現れる。この時の夕陽の美しさは素晴らしく、日本の夕陽百選にも名を連ねている。

ただし、干潮と日没のタイミングが合わなければ、その絶景には巡り会えない。

事前に調べたところでは、翌日がそのチャンスとなっており、この日は干潮時刻が午後4時台であるため、潮溜まりが日没時間まで残るかどうかが不安だった。しかしこの様子なら… と勝負をかけることにした。

海岸に到着したのは、サンセットタイムがちょうど始まる直前。

これならいける!

そして…

見たかった光景が目の前に現れた。

引き潮の度合いこそパーフェクトではないものの、地元の写真ファンもまずまずというコンディションに拍手。熊野磨崖仏でズッコケた分をここで取り戻し、九州初日の取材は終了。足はパンパン、お腹はペコペコ。毎回カラダが取材に慣れるまでの数日間は、こういう状況が続く…

この日は車中泊スポットの見聞を兼ねて、道の駅・くにみで車中泊。明日の行動予定を考えれば、道の駅・中津で泊まるほうが時間的にもロスがなく、ストレスも溜まらないのだが、取材では国東半島の道の駅をスルーパスすることは許されない。「趣味」と「仕事」は別物なのだ。それにこういう動きだから、走行距離も経費もガンガン膨らむ(笑)。

ちなみに、この道の駅は電源と個別シンクがある区画オートキャンプ場と隣接しており、国東半島でのんびりしたいという人にはそちらがお勧め。1泊3600円で電源付きというのは、首都圏では「あり得ない」コスパだろう。

明日は、もうひとつの車中泊スポット、「道の駅くにさき」を見てから長崎へと向かう。

2017・GW 九州横断取材旅<Ⅱ> 佐世保/長崎県

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