ハイエース・キャンピングカー Wiz(ウィズ)  実使用レポート

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求めていたのは、プロモデル

筆者がやっている仕事は、単なる旅行ライターの取材じゃない。

まずは車中泊とオートキャンプを伴うクルマ旅の行き先選考と、モデルルートのプランニングに始まり、企画が「机上の空論」にならないよう、実際に読者と同じように旅をし、フィールドに泊まる。

普通はそれが「当たり前」と思うが、雑誌やテレビの取材を受けたことがある人ならご承知の通り、実は取材に来て筆者と同じように「車中泊」をする編集者やカメラマンはほとんどいない。大半は東京から新幹線か飛行機でやってきてホテルに泊まる。

アマチュア時代から、筆者はそのことに強い違和感を覚えてきた。

専門誌の取材者がユーザーと同じ「目線」に立たずして、本当に共感や感動を呼ぶ記事が書けるのだろうか?

加えて…

筆者はライターにスタイリストとカメラマン、さらに時には釣り人や野外料理のシェフを、家内はモデルにアシスタント、そしてフードコーディネイターを兼ねる。二人でいったい何役なんだ(笑)。

そんなこんなで出来上がる紙面にリアリティーがあるのは、細かなディテイルにまでこだわり、全てが「実写」であるからに他ならない。

その点においては、昭和の名作ドラマ「北の国から」の脚本家、倉本聰氏の思想にまったくもって同感だ。

以下は「北の国から資料館」に展示されていた1枚のパネルの転記。
 
ドラマのスタートは、企画から始まる。
プロデューサー、演出家、脚本家が意見を出し合い企画が練られる。
【プロデューサー】
アドベンチャーファミリー、キタキツネ物語がヒットしたので、北海道を舞台にあのようなドラマが作れないか…
【脚本家(倉本聰)】
キタキツネ物語は三年近い年月を使ってキタキツネの生育を追っている。
そのような制作体制が今のテレビドラマでできるのか。また、アドベンチャーファミリーは人間社会から隔離された北米の原野が舞台になっている。そのような舞台は北海道にはない。
【プロデューサー】
テレビの主たる視聴者は東京の人間である。北海道にそうしたフィクションの土地を置いても、東京人はそれをかえって面白く思うだろう。
【脚本家(倉本聰)】
その考えは間違っている。
板前のドラマは板前が、刑事のドラマは刑事が見て感動してくれなければ本物とは言えない。北海道を舞台にしたドラマが、北海道人に嘘だと言われたら良い作品などできるわけがない。

しかし… いくら好きなことでも、さすがに夫婦ともども50歳の壁を超えると疲れがたまり、以前のような無理が効かなくなってきた。

また旅先によっては、道の駅に泊まりながら取材を続ける場合もあり、そうなると椅子に座って食事や作業のできないボンゴフレンディーでは限界があると思うようにもなってきた。

ハイエース・キャンパーWizと出会ったのは、ちょうどそんな時期である。

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ふたり旅を考え尽くした、コンパクトで高性能なバンコン

実使用による感想は「まさにその通り」だった。

キャンピングカー・ショーに出向けば分かるが、大半のハイエースベースのキャンピングカーは4人という数字をどこかに意識している。

たとえシニア層をターゲットにしているモデルでも、いつかは孫と一緒に乗るかもしれない… そんな思いが、きっとユーザーもビルダーも払拭し切れないでいるのだろう。

だが、Wizの魅力の根本はその迷いをモノの見事に断ち切っているところにある。

内装と装備に触れる前に、Wizのベースであるハイエース・バンDX-GLパッケージの車両サイズは、長さ4695×幅1695×高さ2240(ミリ)。高さを除けばボンゴフレンディーと全く同じ大きさである。

事実、驚くほど車両感覚は変わらなかった… 

にもかわらず、圧迫感どころかゆとりをも感じさせる室内空間は、乘る人間の誰もを驚かせてしまう。

アネックス社が創るハイエースキャンパーの中でも「最上級」を誇るこのクルマは、単なる「ふたり仕様」だけが魅力ではない。

室内の隅々に至るまで綿密・緻密なアイデアが散りばめられ、それが相乗効果となって、広さと使いやすさ、そして上質感を奏でている。まさにプロモデルとしての資質に満ちた、筆者が望むベースキャンパーなのだ。

このページでは、まずダイジェストでそんなWizの「カラクリ」を紹介していこう。

Wizのカラクリ1 L字型のダイネット

最初にWizの室内を見た人が発する言葉は、「わぁ~、広い」。

L字型のダイネットと幅1240ミリを誇る大きなテーブルが、頭の中にあったハイエースキャンパーの潜在イメージを凌駕する。ちなみに左のボトルケースは筆者の「お手製」。Wizを初めて見た時、これはちょっとイケてるBarになると閃いた(笑)。

この日のゲストは幼児を連れた若い夫婦。この大胆なテーブルレイアウトが、大人4人に子供がいても車内でゆっくり食事ができるだけのスペースを生み出してくれる。

取材はひとりで行うこともある。そんな時はテーブルレイアウトのまま寝ることが可能。自宅でもここまで効率的には過ごせない(笑)。まさにフィールド・オフィスそのものだ。

ちなみに、テーブルは下げるとベッドの土台になる。この上にシートの背もたれを並べると、幅1400ミリのセミダブルベッドに早変わり。

さすがにテーブルは自動では下がらないが、油圧式なので上げ下げに力は要らない。シーツを敷いてこの状態にするまで、慣れれば5分もかからず、これまで面倒と思ったことは一度もない(笑)。

Wizのカラクリ2 理想的な収納機能

ひとことで言うと、Wizは「着痩せ美人」。

見た目はスリムだが、要所はボリューム感に満ちており、スッキリ感と使い勝手を両立している。

特にスライドドア側にレイアウトされたハンモック式の収納スペースは、軽いがかさばるマルチシェードやパークゴルフのクラブ、また夜間に着替えを一時保管するには最適で、筆者のお気に入りのひとつだ。

また冷蔵庫を含めて、調理に必要なほとんどのモノが、室内にあがらずとも外から取り出せる配置になっている点は絶賛に値する。

夜釣りで波止場に来て、こんなことができるのはそのおかげ。Wizの設計者はオートキャンプを熟知しているのだろう。

Wizのカラクリ3 立って調理や着替えができる「拡張ハイルーフ」

8ナンバー車は、キッチン前の車内高が160センチ以上確保されていなければならない。だが、ハイエースのハイルーフ車は、そのままだと車内高が少し足らず、多くのモデルは床を下げてその要件を満たしている。

だがWizは違う。屋根を上げるという驚くべき発想で、その難問をクリアしているだ。

ウィズには開閉式のサンルーフが搭載されており、上背の高いユーザーでも立てる工夫が施されている。

換気にも役立つこのサンルーフは、さらに夏用に網戸まで用意されている。おかげで夏でもサイドのドアと天井から外気が入れられるため、多少は涼しく寝ることができる。

なお、Wizのグレードや価格等の詳細については、アネックス社の公式サイトをご参考に。クルマ旅をする万人に合うとは云わないが、オートパッカースタイルによく合致するキャンピングカーであることは保証する(笑)。

Wizのカタログページはこちら

※マイナーチェンジを受けた現行のWizは、テーブルが筆者のモデルとは変わっています。

ざっと、ここまで「ノーマルのままのWiz」を紹介してきた。云ってみれば「買ったままのマンションの室内」を観ていただいたわけだ。だが、このクルマを筆者がプロモデルと呼ぶからには、それなりの改造プラスアルファが上乗せされている(笑)。

次は、筆者が加えたユニークなオプションの数々を紹介しよう。

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